全国菊池の会

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菊池氏関連資料

初代則隆肖像画

これも福島紺野家に伝わる菊池家当主絵巻物の冒頭を飾る絵である。後三条帝より下賜されたという太刀と獅子牡丹の幕紋そのものが描かれている。この絵では、良く見ると則隆の持つ太刀の尻鞘(箒鞘)に虎の毛皮が描かれているのが分る。太刀を雨水や物損から守る為の刀装具の一つで騎乗した時、太刀の鞘尻が馬を不意に叩いてしまうことを防ぐ意味でもあり、装飾目的でも用いられていた。平安時代後期に登場し、最も多く用いられたのは南北朝時代だと言われている。素材には様々な動物の毛皮が使われているが、当初は官位と役職により使用出来る毛皮の種類が厳密に定められていた。中でも虎は日本国内では入手出来ない貴重な品で高級品であった。平安前期の「延喜式」によると、虎や熊は五位以上の貴族、豹は三位以上と参議の公卿という官位に応じたルールがあった。同じく「西宮記」にも尻鞘について、公卿は豹皮、四位五位は虎皮で、水豹皮 を用いるのは六位の官人である、とある。菊池家系圖に見える則隆の肥後下向、正四位上の叙任を裏付ける史料と言える。時代は遡るが、蒙古襲来絵詞に描かれた10代当主菊池武房が持っている尻鞘が、正にこの虎の尻鞘であると思われる。菊池土豪説を唱える人達が、なぜ無位無官の土豪武房が虎の尻鞘を所持していたのかという疑問もこれで解決出来たと言えよう。

菊池初代則隆肖像画

菊池初代則隆肖像画

伝菊池則隆像(木像)

所蔵/玉名大神宮

菊池初代則隆肖像